2022.08.25
期間:2022年9月10日(土) – 9月26日(月)
日東堂は、「日本の藝と道具」の未来を担う作り手を応援しています。
6回目となる今回は木工作家 駒田雄蔵(BOSAOJI)さんをご紹介致します。
BOSAOJIは木工作家 駒田雄蔵さんによる木工ブランドで、木製の器や一輪挿しの花器などを主に製作されています。
これらの作品は、旋盤という高速で回転する機械に材木を取り付け、そこに刃を当てながら成形していく木工ろくろ(wood turning)という技法を用いて作られています。
木そのものの色を活かしたナチュラルなオイル仕上げのものや鉄媒染によって重厚に仕上げられたものなど、使用する材によって使い分けられた色彩が魅力です。
BOSAOJIの作品を最も特徴づけているものはフォルムの多様さでしょう。
これらは生活の中で実際に皿や器として、もしくは花器として使用することはできるものの、それ以上に静的な、そこにあるだけで周囲の空気に働きかけるような存在感があります。
必要な機能、構造が持つ無駄のない造形美を「機能美」と言いますが、BOSAOJIの作品群は実用に即した「機能美」と言うより、むしろ生活を彩る装飾物としての用を満たす、別様の「機能美」が備わっています。
家具の設計製作や建築の実務から学んだ住空間への意識によるものでしょうか、実用品でありながら、実用と離れたところで美的に完結する、非常に美しい作品となっています。
また、製作の過程において半ば自動的に導き出されるフォルムであること、つまり形に先立って何かを象徴するイメージや伝えたいメッセージを持たない事も特徴の一つでしょう。そのようなオブジェとしての側面が、使い手が作品を自由に捉えることのできる余白を持たせています。
手に伝わる抵抗を通じてなされる木との対話の結果として削り出された形は無駄がなく、それでいて有機的です。
同じ形でも陶器であればもっと無機的で、冷たい質感を持つはずです。シャープなエッジ部分をもつ形であっても、どこかやわらかな印象があるのは、やはり木という素材の魅力です。
どのように使うか、飾るか、想像をかき立てる作品を、ぜひお楽しみください。