2022.07.15

【展示】手仕事のさきへⅤー故金あかりー

期間:2022年7月16日(土)-8月1日(月)

日東堂は、「日本の藝と道具」の未来を担う作り手を応援しています。

5回目となる今回は、岐阜県多治見で作陶する故金あかりさんをご紹介致します。

丸みのあるフォルムと光沢のない独特の質感。
うっすらもやのかかったような奥ゆかしい色調。
粘土を数回に分けて、継ぎ足しながら貼りつけることで生まれるテクスチャ。
どれも不思議と親しみやすく、つい手に持ってみたくなるような作品です。

大きな壺や壁掛けなど、身近で実用的な食器以外の制作にも精力的な故金さんですが、
今回展示する作品は飯碗や土鍋などが中心となります。

飯碗をつくるにあたって、故金さんが自身と米との関係の原点を辿ると、
そこには小さなころに手伝った田植えや稲刈りの風景があったといいます。

山と海のある景色。
青く茂る苗からさざめく穂波へ。
ごく個人的な体験、実感から生まれる色調が、どこか懐かしさに似た親しみを持つのは、
日本の風土を知るわたしたちに通底する風景感と重なるからかもしれません。

最近では、多治見で畑仕事を手伝うようになり、
暮らしの中で自身の器を使うことも増えたことで、陶芸と暮らしがより密接になってきたそうです。

日々の暮らしの中での気づきが、作品の変化を促す。
故金さんにとって暮らしは作品を育む素地であり、作品はまさしく暮らしの鏡といえます。

また使い手にとっては日々欠かさず繰り返される食事、
ひいては暮らしがそのような健やかな作品によって育まれることと思います。

作家の確かな実感から生まれた、暮らしに寄り添う手仕事の数々をどうぞお楽しみください。