2023.01.06

【展示・販売】手仕事のさきへ8ー金田萌永・栁川晶子ー

期間:2023年1月14日(土)- 1月29日(日)

日東堂は、「日本の藝と道具」の未来を担う作り手を応援しています。

八回目となるこのたびの展示では、二人の作家をご紹介いたします。

お一人目は滋賀県で作陶する陶芸家金田萌永さんです。
金田さんの作品は遠目には繊細に絵付けされたもののように見えますが、
これらの絵柄はすべて練り込みという技法によってつくられています。

色をつけた磁土を金太郎飴のように並べてつくる無数のパターンは、下書きや完成のイメージ図などはないそうです。
一見、綿密に計算された作品のような印象を受けますが、実際は偶然性を引き込む、非常に自由でおおらかな手法であり、さながらコラージュのようです。
コラージュは約100年前にフランスで確立された絵画技法ですが、完成をはじめから決めずに、貼り合わせる紙片の選択という偶然性を通して無意識のイメージを可視化するために生まれたものでした。
そのような意味において、まさしく意識の上では作家の手を離れ、半ば自動的に生成される作品は、時には見る人だけでなく、制作した作家自身にも驚きを与えます。
一つとして同じもののない、無数の青の組み合わせをお楽しみください。


お二人目は岐阜県で作陶する陶芸家栁川晶子さんです。
まるで長い間沈んでいた海の底から引き上げられた、
遠い昔の焼き物のような栁川さんの作品。
もともと道具としての用途のないオブジェや造形物の制作を入り口に土に触れてきた栁川さんですが、
その作品にあらわれる自身の作為に違和感を感じたことから、作品を水に沈める工程にたどり着いたのだそうです。
成形したものを手放して、水の仕事に委ねる。
陶器である以上、火に委ねることは当然ついてまわることですが、さらに作品を自身の手から遠ざけようとする姿勢が独特のテクスチャとして作品に現れています。
作為と無作為のあわいを漂う、非常に魅力的な作品です。
ぜひ直接ご覧いただければと思います。


手でつくられる作品が、
その制作の過程において手から離れることは何を意味するのでしょうか。
ある時は素材に干渉する直接性への制限として、
ある時は見たことのないイメージを生み出すための自由な手法として。
どれだけ手をかけ、どれだけ手放すか、
その采配は作家の素材に対する姿勢の写し鏡と言えるのではないでしょうか。

ひとつひとつ手によって生み出される作品の意匠から、
そのようなことを読み取る楽しみもございます。

ぜひ、会場で直接ご覧いただけますと幸いです。