期間:2024 年1月24日(水)- 2月11日(日)
日東堂は、「日本の藝と道具」の未来を担う作り手を応援しています。
14 回目となるこの度の展示では、
富山県滑川市の木工作家 船木智仁さんと
石川県金沢市の陶器ブランド、Relax Ceramics さんの
作品が並びます。
ご出展いただく作家さんをご紹介いたします。
1人目は富山県滑川市の木工作家 船木智仁さんです。
まず目に入る複雑なテクスチャは、
蒔地漆(まきじうるし)という手法によるものです。
作品表面に塗布した漆が渇ききる前に蒔かれた
微細な砥の粉(石や土を細かく砕いた粉末)が
定着することによって、
独特な表情がもたらされます。
今回はこれまでに制作されていた
黒を基調としたものに加え、
蒔地漆に錫と真鍮を組み合わせた新色の作品が並びます。
船木さんの作品は木工ろくろという
高速で回転する旋盤に取り付けた木材に刃を当てて
直接削り出す手法でつくられています。
重厚感のある色調から、
これらの素材が木であると一目で気づくことは難しいかもしれません。
しかし手に取ると、その手馴染みの良さから
木工作品特有のあたたかな質感と軽やかさを実感頂けることと思います。
次に石川県金沢市の陶器ブランド、
Relax Ceramics さんです。
これらは液状化した磁器土を型に流し込んで
成型したのち焼成してつくられる、
鋳込みという製法でつくられています。
非常に特徴的なのは、
まるでクッションのようなその形です。
中心のくぼみは、そこに透明なものが乗っているかのような
錯覚を覚えるほど自然な仕上がり。
土の持つ数ある性質のうち、
やわらかさ、優しさという
側面を抽出して表現するために生まれた形だそうです。
手に持つと、磁器特有のつめたく薄い硬さが手に伝わり、
それまで頭が感じていた柔らかさを心地よく裏切ってくれます。
また、中にはしっかりと重みの感じられるものもつくられており、
実際に手に取るまでその重みがわからないところも非常におもしろいです。
わたしたちは、
目で見た情報をもとに多くのことを判断します。
イメージしていた重みと
実際に手に伝わる重量のギャップは、
その目から得た情報に対する
心地よい裏切りとなって訪れます。
木工と磁器。
本展では奇しくも素材や工程が全く別でありながら、
そのような特徴を持つ作品が並ぶこととなりました。
全く異なる作家同士の作品でありながら、
重なる点が見いだされる事は少なくありません。
また、重なる点が見いだされれば、
それに導かれるように差異も浮き彫りとなり、
各々の魅力を強めあうようにも思います。
ぜひ会場で直接ご覧ください。